1000円程度で買えるウイスキーから数万円ほどのウイスキーまで、市場にはさまざまな価格帯のウイスキーがありますが、ウイスキーの値段はどのように決まるのでしょうか。熟年年数だけだと思ったら大間違い!
熟成年数だけがウイスキーの価値を決めるのではない
ウイスキーの価格を決定する項目はいくつかありますが、一番わかりやすいのはやはり熟成年数でしょう。長い間、樽に詰められ大事に熟成庫で保存されたウイスキーは、確かにコストがかかっているといえます。
また、「天使の分け前」と言って、ウイスキーを樽熟成すると、年々数%ずつ蒸発していってしまいます。このため、長期熟成したものは約半分くらいにまで量が減ってしまうこともあるのです。長期熟成のウイスキーが価格的に高くなってしまうのはこのような理由からです。
しかし、ウイスキーの価格を決定しているのは熟成年数だけではありません。ブレンダーの存在もあります。ウイスキーを構成する要素で重要なものは、原料となる穀物、水、酵母などですが、まったく同じ作り方をしても同じウイスキーはできません。
それは、まったく同じ穀物、同じ樽が存在しないように、樽の一つ一つが全く異なる味わいを生むからです。つまり、ウイスキーは、ブレンダーの舌によって同じ味に保たれているのです。
ウイスキーの価格決定の要素には、他にも樽の大きさや樽に使われる木の種類、熟成の仕方などが大きく関わってきます。また、流通量の問題や、限定生産、在庫量の確保などといった商業的理由も絡みながら、ウイスキーの価格は決定されているのです。
こんなにもあった!ウイスキーの値段を決めるポイント
ブレンダー
ブレンダーは、ウイスキーの品質管理、複数のウイスキー原酒を組み合わせて味を調える役割、そして新たな商品として新しいウイスキーを創造する役割を担っています。このような役割を持つブレンダーの最高責任者をマスターブレンダーと呼びます。マスターブレンダーの舌は、価格決定においても重要な要素です。
樽の大きさ
樽の大きさにも種類があり、ウイスキーの熟成に変化を与えます。樽が小さければより早くダイナミックに、大きな樽を使えばよりゆっくりまろやかに熟成が進むとされています。ウイスキーの熟成に使用する樽の大きさの種類には、バーレル(約180L)、ホッグスヘッド(約230L)、パンチョン(約480L)などがあります。
樽の材質
樽の材質によってもウイスキーの価格は変動します。というのも、熟成樽の材質は、ウイスキーの風味に大きな影響を与えるからです。
樽の種類には、バーボン樽、ワイン樽、シェリー樽などがあります。バーボンウイスキーは、オークの新樽の内側を火で焦がしたものを使います。スコッチなどは、バーボンウイスキーを詰めた古い樽を使うのが一般的です。日本では最近、固有種であるミズナラの熟成樽を使ったウイスキーも造られています。
値段が上がるポイント=こだわりポイント
ウイスキーにはこだわりポイントがたくさんありますが、そのこだわり自体が価格に影響することも。
例えば、ウイスキーの熟成に使う樽に、フランスの五大シャトーのワイン樽を使ったら香味は一体どうなるのでしょう。そのような試みをしているのが、アイラ島にあるブルイックラディです。ワイン商の知識とウイスキー哲学を融合させた蒸留所として名を馳せています。
また、ミズナラ材を熟成樽としてだけでなく発酵槽にも使っている蒸留所が、秩父のベンチャーウイスキー社。イチローズモルトを生み出しているベンチャーウイスキー社は、非常に小規模な生産量ながら、2007年よりWWAで連続受賞しています。
日本、さらに秩父にこだわったウイスキー造りが世界で大変高い評価を得ていることから、近年、価格の高騰が著しいウイスキーの一つになっています。
このようにウイスキーの値段は熟成年数だけでなく、さまざまな要素によって決まります。作り手のこだわりポイントも値段にも関わってくるのですね。ウイスキーを選ぶ際、どこにこだわっているウイスキーなのかが分かると、一層選ぶのが楽しくなります。
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