スコットランドの西側、スカイ島の西岸カーボストにある、この島唯一の蒸留所が
「タリスカー」です。スコットランド本土やアイラ島などとも異なる個性的なウイスキーを生み出している蒸留所であり、その個性の強さは、アイラモルトにも劣りません。「口の中で爆発するよう」という表現をする人もいるくらい、存在感を示します。一方、スコットランドの文豪で『宝島』の作者でもあるR.L.スティーブンソンは、
「タリスカー」を「酒の中の王様」と表現しました。彼のように根強いファンが多くいることでも知られる魅力的なウイスキー、それが
「タリスカー」です。
まず、スモーキーな香りが鼻をつくでしょう。しかしその嵐を過ぎると、大麦の甘さや少しスパイシーな香りに気づきます。味わいはとても刺激的で、好き嫌いを大きく分けるかもしれません。スパイシーで苦みも感じられますが、ほのかな甘さもあります。全体的には刺激的ですが、ほのかな甘みも感じられる通好みのウイスキーといえるでしょう。後味は比較的続く方ですが、くどさはなくさっぱりした印象です。
創業は1830年で、マッカスキル兄弟によって建てられました。
「タリスカー」の名前は、兄弟が住んでいた家の名前に由来します。ゲール語、ノース語、ともに起源があり、「傾いた斜面の大岩」という意味だとされています。蒸留所が建てられたスカイ島は「ミスト・アイランド」と呼ばれ、霧でよく覆われます。海洋性気候のため、険しい山々が屹立している島を荒天時には荒れ狂う風と波が襲います。このような環境が
「タリスカー」の個性を生み出したと考えることもできるでしょう。
近年は、シングルモルトとしての人気が急上昇しており、蒸留所を訪れる人々が年々増加しています。
「タリスカー」は、ディアジオ社が最も力を入れて販売しているシングルモルトで、巨額の投資が行われおり、売り上げも大きく伸びています。
「タリスカー」で使用されている麦芽は全てグレンオード製であり、フェノール値は約18~22ppmとされます。仕込み水は、蒸留所の背後にある20近くある泉から水をくみ上げています。しかし、スカイ島は厚い岩盤で覆われており、土壌に十分な保水力がないため、
「タリスカー」蒸留所は慢性的に仕込み水不足の問題を抱えています。この問題を解決するために、絶えず試掘を繰り返していますが、未だに解決していないのが現状です。