最近、国産ウイスキーの原酒が不足しているというニュースが話題になりました。実際、山崎10年などが終売、響17年や白州12年も休売となり、その影響で国産ウイスキーの販売価格は高騰しています。ウイスキーのお値段について、高騰の理由や品質との関係についてのお話とともに、手頃に楽しみたい方におすすめのブランドなどをご紹介します。
1.びっくり!日本産ウイスキーがこんなに高いなんて!?
「山崎25年」は、1999年のサントリー創業100周年を記念して販売された特別限定品でした。もとの小売価格も125,000円というお値段でしたが即完売。値段は高騰を続けています。
それに比べれば「山崎18年」の価格は25,000円。やっぱり高いですよ!こんなに高かったっけ?それに商品によっては「終売」となっているものもあります。ウイスキー、なくなっちゃったんでしょうか?この秘密、実は山崎が「シングルモルトウイスキー」だから、なんです。
2.高騰の主な理由は、やはり「原酒不足」
日本の国産ウイスキーのシェアは、サントリーが約70%、ニッカウヰスキーが約20%、この2社合計で9割となります。そして両社とも、売り上げとしてはブレンデッドウイスキーが主力で、ブレンドに使用するシングルモルトやグレーンウイスキーは、すべて自社が保有する蒸溜所で行っています。つまり、人気のシングルモルト「山崎」も、ブレンデッドウイスキーに使われる「原酒」の一部なのです。
1980年頃からシングルモルトウイスキーの人気が世界的に高まり、各メーカーもそれに応えて販売するようになりました。しかし、シングルモルトはブレンデッドウイスキーの原酒ですから、そちらに必要な量は確保しておかなくてはなりません。ブレンデッドウイスキーは、熟成が完了したウイスキー数種を混ぜ合わせますので、熟成したブレンデッドウイスキーを作るには、熟成させた原酒が必須です。
そんなわけで、各ウイスキーメーカーは、どれだけ人気があったとしても原酒を完売してしまうわけにはいかず、終売として市場供給を止めざるを得なくなったのです。
3.上には上がいる。世界のお高いお酒トップ3は?
ウイスキー以外のお酒で高級酒と言えば、やはりワインやシャンパンでしょうか。
記録に残る高級なお酒を調べてみました。
・ロマネ・コンティ(1976年・赤)
価格 一本1,338,830円(※時価につき変動あり)
ロマネ・コンティは、ドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティ(DRC)社所有のグラン・クリュのピノ・ノワール種のブドウ畑から作られたブドウで作るブルゴーニュワインです。希少性も人気も高く、世界で最も高値で取引されています。
・シャンパン:グー・ド・ディアモン/テイスト・オブ・ダイアモンズ
価格 一本2億2770万円
シャンパンは、複数のワインを調合し二次発酵させるという製造工程のため、普通のワインよりも相場が高いのです。このシャンパンの場合は中身もさることながら、ボトルなどに煌びやかなスワロフスキークリスタルの装飾がなされ、販売数もごくわずか。希少性が非常に高いシャンパンとなっています。
・コニャック :ヘンリーIV、コニャック・グランデ・シャンパン
価格 一瓶 約1億6,400万円
24金と6,500個のダイアモンドが散りばめられたボトルはコニャックの王者の名にふさわしいでしょう。100年以上もの間樽の中で保管されているといいます。
4.ウィスキーの味と値段に相関性はある?ない?
他のお酒の例を見てわかるとおり、酒類の値段は、希少性と人気の相関関係で決まります。これはウイスキーも同様です。では価格が高い方が、ウイスキーは美味しいのでしょうか。
ウィスキーは、その産地や製造所によって、香り・味・風味などが異なります。加えて、同じウイスキーでも醸成年数を重ねることによって、変化します。
シングルモルトウイスキーは、ブレンデッドウイスキーへの供給分が優先されるため、市場流通分が少なくなることは予測が付きますよね。その量は醸造年数に比例していますから、価格も上がっていきます。
一方のブレンデッドウイスキーは、基本的には生産量や市場流通量についてはシングルモルトよりも多く安いのです。しかしブレンドするシングルモルトの量が減少すれば、ブレンデッドウイスキーの生産量も減少します。醸成年数に比例して希少性は増していくということになります。
供給量と希少性から言えば、シングルモルトの方が価格が上がりやすいと言えます。では、「シングルモルトはブレンデッドウイスキーより美味しい」と断言していいでしょうか?
――そう、答えは「否」。ブランドの好みはもちろん、シングルモルトの風味が好きな人もいれば、ブレンデッドウイスキーの味わいを好む人もいます。品質の善し悪しによって価格は変わり、それがブランドの評価に直結します。高いブランドには高いだけの、品質に対する信頼が寄せられていると言えるでしょう。
5.ウイスキー入門は2,000円以下でもOK
ウイスキーの価格について、大まかながらご説明してきました。さて、では今からウイスキーに興味があって、自分の好みのものを探したいときは、安いものを買うのがいいのでしょうか?それとも最初から奮発して高いものを買うべき?
「最初からいいものを飲め」という意見もあるとは思いますが、ここは一つ、「ノンヴィンテージ/ノンエイジも含めてブレンデッドの手頃なものにチャレンジする」ことをおすすめします。ブレンデッドをおすすめする理由は、シングルモルトよりも飲みやすいからです。手頃なものを試して好みの味わいがあったら、そのブレンドのキーモルトから入っていけばよし、気に入らなければさくっと変えましょう。
ノンビンテージもしくはノンエイジ、NASと呼ばれるものをおすすめするのは、そのメーカーのブレンダーの好みが反映されているからです。NASは醸成期間が均一ではないために、「醸成年数が表記できない」のですが、ブレンデッドウイスキーであることにかわりはありません。気に入ったブランドが見つかったら、次はそのブランドの上位クラスにチャレンジしてみましょう。
ジョニー・ウォーカーというブランドをご存じでしょうか。ブレンデッドスコッチウイスキーの有名ブランドで、ラベルの色によって醸造年数を大まかに示していて、価格も変わります。一番安いのが赤、次は黒、最上位は青という具合です。他のブランドも醸造年数を重ねるほど価格が高くなるのが一般的です。気に入ったブランドを先に見付け、その上位クラスに手を伸ばしていきましょう。
また、ウイスキーは飲み方によっても味わいが変わります。ストレートだけでなく、ロック、水割り、トワイスアップやハイボールなども試してみることをおすすめします。
- ウイスキーまとめ - ウイスキー入門編
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