余市がハイランドモルトを思わせる男性的な力強さを持っているのに対し、
宮城峡はローランドモルトを思わせるやわらかで繊細な味わい。バニラのような甘い熟成した香りと、穏やかなピートの香りが調和しています。バナナやリンゴを思わせる果実のような甘酸っぱいさがエレガント。
「シングルモルトはクセがあって苦手」という方にも、エントリータイプとしておすすめできます。
シングルモルト宮城峡、10年、12年、15年、そしてシングルカスク宮城峡の5種類が販売されていましたが、現在は
シングルモルト宮城峡ノンエイジングののみが販売されています。
ニッカウヰスキーの創業者、竹鶴政孝が様々な醸造所の候補地を探していたとき、宮城県仙台市の西、山形県との県境に近い広瀬川と新川に挟まれたこの地を訪れました。その際、新川の水を使って持参した「ブラックニッカ」で水割りを作り、味を確認。水質の良さとウイスキーとの相性の良さに感動したといわれています。偶然に、「新川(ニッカワ)」と「ニッカ」は似た名前だったこともあり、この地に工場建設を即決。現在も新川の伏流水でウイスキーをつくっています。
異なる蒸溜所で生まれた複数の原酒をブレンドし、より味わい深い豊かなウイスキーを作りたいという竹鶴の夢を実現したものです。竹鶴は蒸溜方式にもこだわり、当時すでに旧式とされていたカフェ式蒸溜機を導入しました。あえて雑味となる成分が残る旧式の蒸溜機を使い、技術でそれを旨味に変える、それが宮城峡のやわらかなテイストにも生かされています。
ストレートで味わってみたいところですが、ここは工場建設を即決した竹鶴に習い、水割りで楽しんでみましょう。ニッカウヰスキーが推奨している水割り「1・2・3(ワン・ツー・スリー)」をご紹介します。ウイスキー1に対し水2を入れ、さらに氷を3個入れる方法。氷は大きめのものを使いマドラーでよく混ぜ、30秒ほど時間をおいて味が馴染むのを待ちましょう。
また、ウイスキーと水を1:1で割り、氷を入れないトワイスアップもおすすめです。ブレンダーはこの方法でテイスティングを行うので、ニッカウヰスキー初代マスターブレンダーだった竹鶴を真似て、トワイスアップで飲んでみるのも粋ですね。この場合は、香りが広がる球形のグラスや脚付きのテイスティンググラスがおすすめです。