スモーキーさがガツンと鼻を打つような感覚から始まる「
アードベッグ」の香りは強烈で、そのほかにも、ヨード臭やピーティなども存分に感じることができます。強烈な香りの洗礼を受けた後は、その奥にまろやかな甘い香りが広がり、安心感にも似た喜びを感じることができます。味わいは鋭く、強い刺激が舌を襲います。スパイシーさも感じられるかもしれません。こちらも少し慣れれば、
「アードベッグ」の複雑で刺激的な味わいだけではなく、甘みのある深い味が余韻として残ります。
「アードベッグ」の熱烈なファンのことを、「アードベギャン」といいます。
「アードベッグ」の刺激的で甘みのある風味に惚れ込み、
「アードベッグ」の蒸留所の経営が危ぶまれる時期においても、
「アードベッグ」を支えてきた熱狂的なファンたちのことです。生産量は、130万リットルと、「キルホーマン」を除いてアイラでは最も少ないのですが、75%を自社のシングルモルトブレンデッド用に、残りの25%を「シーバスリーガル」や「バランタイン」などのブレンデッド原酒用にしています。
「アードベッグ」は、他の蒸留所と異なり、非常に個性的な名前をつけたウイスキーを生産しています。定番の10年のものに加えて、「ウーダガール」や、「コリーヴレッカン」といったゲール語の商品名です。「ウーダガール」は、「暗く神秘的な場所」と言う意味で、
「アードベッグ」の蒸留所の近くにある美しい湖の名前から取っています。
ちなみに、この湖から
「アードベッグ」は仕込み水を取っています。「コリーヴレッカン」は、アイラ島とジュラ島の間にある海域の名称のことで、渦潮が発生する海域としても知られています。このため、ラベルにも渦巻き状のペイントがなされています。
その強烈な個性を存分に堪能したいのなら、まずストレートで楽しんでいただくのが一番ですが、アイラを経験したことがある方でも、最初はおそらく強すぎると感じてしまうでしょう。ロックにすると多少加水され、
「アードベッグ」の奥ゆかしい甘みが表に出てくるので、初めはロックが飲みやすいかもしれません。慣れてきたら、ぜひストレートも楽しんでみてください。
香りが非常に刺激的なので、一人で飲んだり友達と楽しみながら飲んだりすると良いでしょう。もしかしたら、強烈な経験の共有が「アードベギャン」という仲間意識に繋がっていったのかもしれませんね。