お酒は昔、薬の役割を果たしていました。お酒を飲むことによって健康状態を取り戻すことができると考えられていたのです。飲みすぎは体に悪影響を与えますが、適量の飲酒は健康を促進するものと考えられていたのです。
ウイスキーの語源は、「アクアヴィテ」や、「ウスケボー」などの言葉だと文献から推測されます。これらの言葉の意味は、「命の水」であり、ウイスキーはスコットランド及びアイルランドにおいて古くから親しまれてきました。
そこで今回は、「命の水」という意味を持つウイスキーの効能をいくつかご紹介します。
適度な飲酒で血液サラサラに?「Jカーブ効果」
まず、お酒を飲むことが体に良いという科学的根拠があるのか、という疑問についてお答えしましょう。1981年にイギリスのマーモット博士が発表した「飲酒と死亡率のJカーブ効果」という疫学調査がひとつ、データとして示されます。
この発表では、毎日飲酒をする人は、まったくお酒を飲まない人や時々少量飲む人に比べて、心筋梗塞や動脈疾患による死亡率が低くなる傾向があることが示されました。適度な飲酒によって血管が広がり、血行が促進されるので、心筋梗塞などを防ぐ効果が期待できるのです。
しかし、毎日大量に飲酒する人や、アルコール依存症を患っている人は、冠動脈疾患による死亡率が極端に高くなります。これらの数値をグラフに示すと、「J」の文字の形になるので、一般的にこの効果を「Jカーブ効果」と呼びます。
このデータから考えると、適度な飲酒は健康を損なうものではなく、逆に健康を促進させる力をもっていると考えることが出来ます。
飲酒における適量とは
適量なお酒が体に良い影響を与えることは、昔からよく伝えられてきましたが、実際、適量とはどのくらいの量なのでしょうか。
もちろん、お酒を飲める人か飲めない人かで大きく個人差がありますが、純アルコール量で20~40g程度が適量のお酒と考えられています。これは、公益社会法人アルコール健康医学協会による数値です。また、厚生労働省が推進する国民健康づくり運動「健康日本21」の中には、「適度な飲酒」という項目が存在します。
ここでは、1日の平均純アルコール摂取量を約20gとしています。さらに、それぞれのお酒ごとの目安も提示されています。ビールなら中瓶1本、日本酒なら1合、そしてウイスキーならダブル(約60ml)が適量です。平均的な日本人が程よく楽しむことができ、かつ健康的に生活を送ることができる量といえます。
樽の香りがもたらす森林浴の効果によるストレス解消
ここからは、特にウイスキーに注目して、健康との問題を取り上げましょう。
ウイスキーの性質で、健康状態を良くすると考えられる効能はいくつかありますが、1つは樽熟成の香りによるリラックス効果でしょう。ウイスキーは蒸留された後、長い間樽の中に入れられ熟成が進められます。
このとき、樽材から豊かな香りとポリフェノールがウイスキーに付け加えられるのです。樽材や木によってつけられた香りは、森林浴を行ったときと同じように心身をリラックスさせる効果があるといわれています。
エラグ酸による糖尿病合併症予防
樽熟成を行うことで、ウイスキーはポリフェノールを含むようになります。ポリフェノールとは、ほとんどの植物に含まれている化学物質の総称であり、種類としては4000を超えるといわれています。動脈硬化や脳梗塞を防ぎ、抗酸化作用にも効果がある物質です。
赤ワインはポリフェノールを多く含むため健康に良い、と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。ウイスキーも同じように樽熟成をするお酒なので、同じ効果があります。
また、ウイスキーのもつポリフェノール「エラグ酸」は、糖尿病合併症の予防に効果が期待できます。長期熟成のものほど、つまり、樽の中に長くいたウイスキーほど、このエラグ酸の含有量が多くなります。
ウイスキーで美白??
サントリーとコーセー研究所、岐阜県国際バイオ研究所の共同研究によって、ウイスキーがメラニンの生成を抑制するのに影響を与えるという研究結果が発表されたこともあります。
女性にとっては少しハードルの高いお酒に感じてしまうウイスキーですが、飲みやすい方法で試してみてはいかがでしょうか?
ウイスキーには、香りからくるリラックス効果や、樽で長期熟成されることによるさまざまな健康効果があります。ウイスキーはカロリーも低く、アロマ効果もあるので、常用酒として飲むことがおすすめされるお酒です。
ただし、何事も適量が肝心。健康にも気を配りながら、楽しくお酒を満喫しましょう。
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