カナダでウイスキーづくりが始まったのは18世紀といわれています。最初は穀物の過剰生産を解消するためでしたが、その後、アメリカの禁酒法時代に大きく生産を伸ばしました。
カナディアンクラブは1856年に創業されましたが、既に19世紀後半にはアメリカで大成功を収めていたほどです。現在も、「CC」の愛称で世界中で親しまれており、カナディアンウイスキーを代表するブランドです。
1856年にデトロイトの食料品店経営者ハイラム・ウォーカーが、アメリカの禁酒法を見越してカナダに土地を購入。その後、蒸溜所を建設して1958年に「クラブ・ウイスキー」というウイスキーの製造・販売を始めました。これがアメリカの社交界で大ヒット。自国製品を守ろうとしたアメリカ政府からの圧力で「カナディアン」と称したのが始まりです。のちに英王室御用達となるなど、その勢いは止まることなく、現在に至ります。
蒸溜所を作る際は、警察署や消防署などがある街を選んで建設しました。創業者のハイラム・ウォーカーには、先見の明があったということですね。
カナディアンクラブの大成功を受け、町は運輸業や造船業にも進出。名前もウォーカーヴィルと変え、巨大な企業城下町として発展していきました。
カナディアンクラブは、クセのないライトな味わいでリキュールの風味を引き立てるので、カクテルのベースとしても使用されます。「カナディアン?飲んだことないよ」という方も、実はバーなどのウイスキーベースカクテルを頼んだ際に飲んでいる可能性があるのです。カクテルの女王と称されるマンハッタンですら、
カナディアンクラブベースにしていることが多いといわれています。
ちなみに、ロバート・アルトマン監督がレイモンド・チャンドラーの有名な原作を映画化した「ロング・グッドバイ」(1973年)では、主役のマーロウが小説版のギムレットではなく「CCジンジャー」を頼むシーンがあります。この「CCジンジャー」とは、カナディアンクラブをジンジャーエールで割ったもののことです。
カナディアンクラブはすっきりしたクリアな味わいで、オンザロックスでも水割りでもソーダ割でもOKのオールマイティなウイスキーです。ここでは、
カナディアンクラブならではの簡単カクテルをご紹介します。いずれも映画にちなんだカクテルです。
一つ目は「C.Cジンジャーエール」。ライムを絞り入れ、グラスを氷で満たします。カナディアンクラブを静かに注いで、ジンジャーエールをウイスキー1に対して4注ぎ、静かにマドラーで混ぜます。
そして、2つ目は「ゴッドファーザー」。氷をオンザロックス用のグラスに入れます。カナディアンクラブとアマレットを3:1の割合で静かに注ぎステアします。すっきりした味わいのカナディアンクラブは、食前食後酒としてだけではなく、水割りやハイボールにしても美味しくいただくことができます。
特に、ハイボールは揚げ物にベストマッチ。おすすめの手軽なおつまみは、スパムのフライです。適当な厚さに切ったスパムに小麦粉をつけ、溶いた卵にくぐらせてパン粉をまぶします。フライパンに薄く油をひいて、両面をきつね色になるまで揚げたら出来上がり。あつあつの衣に冷たいハイボールがよく合いますよ。
カナディアンウイスキーの日本の輸入量は年間4万本程度ですが、このうち
カナディアンクラブが90%以上を占めています。日本でも大変人気のあるウイスキーなのです。特にスタンダード
カナディアンクラブはスーパーなどでも入手可能で、しかも1000円程度とリーズナブルな価格なのも嬉しいですね。まさに、「これからウイスキーを飲んでみたい」という方にもおすすめできる1本です。